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月齢

女性向けブログ。ネタ語りや小説など。ルーク至上主義。

2025.04.21
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2008.05.11
ss

今日は朝早くから出かけて帰ってきたのが遅かったので、ssを…。
早く寝ないとだったから、某所のチャットもおとなしく諦めました(泣)
まあ…入る勇気もなかった気がしますが…orz
そのうち、絵チャとか不意に繋いでることがあるかもないかもしれません(どっちだ)
「君が歩むは~」の続きは明日、メンテナンスがあるので、その後か、明後日になるかな。
明日の更新はタイミング的に難しい気がするなぁ…。

ssはサフィルク←ピオです。スレルク。サフィ、出てませんが。
ピオニーの私室で駄弁ってるルークとピオニーの話。短め。

注!同行者厳しめ(主にジェイド)




「世界なんて滅びちまえばいいのにー、とか言ったら、俺のこと殺す?ピオニー」

ブウサギのサフィールを抱き上げ、ルークが笑う。ブウサギを膝に乗せ、あやすその姿の愛らしさに目を細めていれば、これだ。
物騒なことを言うものだと、苦笑する。

「口にしただけで殺してたら、今頃、俺は稀代の暴君として暗殺されてるぞ、きっと」
「俺にその力があっても?」
「ちっとも本気じゃないくせに何言ってやがる」
「んー…」

サフィールの頭に顎をぐりぐりと押し付け、ルークが眉を寄せる。ピオニーは眉を跳ね上げた。

「なんだ。本気なのか?」
「一時期は、そうかなぁ。アクゼリュスの後とか。でも、サフィールとかシンクとかアリエッタまで殺しちゃうのはなー、って思ったし…。アリエッタのお友だち、傲慢な人間どものせいなんかで死なせんのものなぁ、と思って、やんなかったけど」

どうやら世界はかろうじて滅びの危機を脱していたらしい。ひくりとピオニーの頬が引き攣る。
改めて、ジェイドの愚かさに眩暈がし、腹が立つ。あいつは考えもしないだろう。
ルークがコントロールを完全に放棄し、超振動を暴走させていたら、ヴァンが落とさずとも外郭大地は崩壊し、瘴気の海に人間、獣もろとも沈んでいたことなど。世界が滅んでいたことなど。
肩を竦め、エンゲーブ産のリンゴの一切れを指で摘む。昔ならば、皮ごと丸のまま噛り付いたリンゴも、今ではこうして皮を剥き、切ったものしか口に出来ないようになってしまった。
毒味のためだ。仕方のないこととわかっているが、どこか味気ない。
ルークは丸のまま噛り付いた経験がないらしく、上品にフォークを使ってリンゴを口に運び、美味しそうに半分齧ったそれを、サフィールにも食べさせている。

「美味いか?サフィール」

ぶうぶう鼻を鳴らし、サフィールが嬉しそうにルークの腹に鼻先を押し付けた。他のブウサギたちも、相伴に預かろうと、ルークの周りに集まっている。けれど、ルークが特に構うのはサフィールだ。

「なぁ、ルーク」
「あん?」
「お前さ、何でサフィールばっかり構うんだ?」
「何でって……可愛いし」
「し?」
「……いいだろ、別に。なんだってさ」

ぷい、と顔を逸らし、今度はゲルダにリンゴを分けているルークを、ピオニーは、じ、と見つめる。朱色の髪から覗く耳が、赤く染まっているのは気のせいだろうか。──そうだ、気のせいに決まっている。己を納得させるように、二度、三度と頷き、リンゴを頬張る。
シャキシャキとした歯ざわりのいい金色の蜜が入ったクリーム色の果実から、じゅわじゅわと甘く仄かな酸味がある果汁が溢れ、ピオニーの喉を潤した。心の方は乾いていく一方だったが。

「なーんで、あれがいいんだ。趣味わりぃぞ、ルーク!」
「あんな馬鹿、名代にしたようなあんたには言われたくねぇ」
「……それ言われると、反論のしようがねぇんだよなー…」

ぐぅ、と呻き、噛み砕いたリンゴを咀嚼する。かけらが喉に詰まり、ピオニーは噎せ返った。
何してんだよ、と呆れの眼差しとともに、水が入ったコップを差し出してくれたルークに片手を上げて礼を伝え、一息に飲み干す。かけらは水とともに胃へと流れていった。

「っはー、ありがとな、ルーク。なぁ、ホント、俺にしないか?」
「それ以上、馬鹿なこと言ったら、リンゴ丸ごと口に詰めるぞ」
「ちぇ」
「いい大人がちぇとか言うな。可愛くねぇっての」

本気で嫌そうに顔をしかめるルークに、苦笑う。何もそこまで嫌がらなくてもいいだろうに。
手を伸ばし、ピオニーはルークの頬に触れた。ルークは逃げない。翠の目が、訝しげに細められただけだ。

「寂しいなら、相手してやろうか?」
「サフィールが悲しむような真似、俺がするわけないだろ。それに、何の意味もねぇじゃねぇか、そんなの」

本当、優しいなぁ、と蒼の目を弧に細め、ピオニーは手を下ろす。ルークは本当に優しい。
恋人を思いやるだけでなく、この自分のことさえ、思いやるのだから。

(意味もない、か)
ルークは何があっても、サフィールを選ぶ。だから、つかの間の寂しさから逃れるために、頼るような真似はしないと、若干七歳でありながら、子どもは言う。
自分が本気でルークに惹かれていることを知っているから、ルークは自分に一夜の夢も見せない。夢が終わったあと、残るのはむなしさだけ。寂しさだけ。どうしようもない、渇望だけ。
ルークと自分の間では、何も埋まりはしないのだ。哀しいことに、切ないことに。

「まあ、いいさ」

寄ってきたネフリーを抱き上げ、ピオニーはからりと笑う。ルークがまたサフィールを抱き上げ、小首を傾げた。

「あいつに飽きたら、俺のとこに来いよ、ルーク」
「そんな日、絶対来ねぇよ」

きっぱりと断言した子どもの自信に、大人はけらけらと笑い転げ、ブウサギたちが釣られたように鼻を鳴らした。



END


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