月齢
女性向けブログ。ネタ語りや小説など。ルーク至上主義。
5万HIT企画へのリクエスト、ありがとうございますー。
ただ、あの、言わなくても大丈夫だろうと思っていたのですが…お一人で二つとか三つとか、挨拶も何もなく、リクだけ送られてもどうしろと…orz
リクを頂けることは嬉しいです。ネタとか、私の文章で読みたいと思って頂けるのは光栄ですし。
ただ最低限の礼儀は弁えて頂けると嬉しいな、と。
えーと、何はともあれ、今回は全部リクに応えようと思いますー。ありがとうございます!近日中にまとめて、ページをアップする所存です。
で、今日は、「君が歩むは幸せの道」番外編。
メイドなアリエッタとルークのひと時。
5話の少し前あたりの話になります。
アリエッタが淹れてくれる紅茶はどうしてこんなに美味しいのか。
ルークは満足げに頷き、アリエッタに笑みを向けた。アリエッタもにこ、と笑みを返してくれる。
「アリエッタが淹れてくれる紅茶って、本当、うまいんだよな」
「よかった、です」
桃色の髪をふんわり揺らし、誉め言葉にアリエッタが嬉しそうにはにかむ。ルークはその笑みに薄らと頬を染め、顔を伏せた。
(俺、…本当に)
アリエッタが好きだ。もっと笑って欲しい。もっと喜ばせたい。
そして。
ルークはカップを持つ自分の手を見つめた。手のひらを見れば、剣だこが出来ている手だ。
剣の腕を磨くことは好きだ。そこらの軍人にだって、負けない腕を持っていると自負している。
(でも、守れるほどじゃ、ない)
アリエッタを守れるほどではない。そもそも守らせてもらえないだろうが。
(アリエッタは、俺の護衛、だもんな)
護衛が主に守られては本末転倒だ。守りたいと口にすることも、アリエッタは許さないだろう。アリエッタの誇りを傷つけることになる、とルークは紅茶を啜った。
(だから、言えない)
アリエッタを守りたいとは、言えない。主であるかぎり。
(でも、俺のせいでアリエッタが怪我をするのは、嫌だ)
かしっ、とルークはカップの縁を噛んだ。歯が陶器とぶつかり、小さな音を立てる。
「ルーク様、今日のパンプキンパイも、美味しい、です」
「うん。アリエッタの紅茶ともよく合ってるしな」
シナモンが効いた、ほどよい甘さのパイを揃って、口に運ぶ。ファブレ家自慢のコック特製のドルチェは、いつでも美味しい。
二人の唇が、自然と笑みを刻み合う。
ルークは笑みを浮かべるアリエッタを見つめ、翠の目を愛しげに細めた。
(アリエッタが怪我をするなら)
それを治せるようになりたい。癒せるようになりたい。
アリエッタを支えられるような人間になりたい。
一人、知んだイオンを想い、泣いていたアリエッタを思い出す。
(俺じゃ、まだまだ、だろう、けど)
アリエッタの主としても未熟な自分では、隣に立つことすら、本当はおこがましいのかもしれない。でも、いつか。
(いつか、アリエッタに俺に仕えることが誇らしいと思ってもらえるように)
そんなふうに思ってもらえるように、頑張るんだ。
ルークはぐ、とテーブルの下で、拳を握る。
「おかわり、いるですか?」
「うん。ありがとう、アリエッタ」
初めて会ったとき、教えてもらった、大切な言葉。アリエッタには、目には見えないけれど、たくさんの大切な温かなものをもらった。
(俺からも、そんな贈り物をしてあげられてたら、いいんだけどな)
紅茶を新しくカップに注ぐアリエッタを眺めながら、ルークは微苦笑を唇の端に滲ませた。
END
これからも番外編はちょこちょこと書いていくかもしれません。