月齢
女性向けブログ。ネタ語りや小説など。ルーク至上主義。
web拍手に載せていた「灰の騎士」の過去話2です。
アッシュとユーディとロベリアの話。
お兄さんとお姉さん(?)のようなユーディとロベリアです。
「どうぞ」
ユーディが差し出した一枚の写真に、アッシュの目が釘付けとなった。
写真を受け取ろうとするアッシュの手も、ふるふると震えている。
「ど、どどどどうしたんだ、これは…!」
「まあ、落ち着いて。ほら、アッシュ、前から欲しいって言ってたじゃないですか。なので、ディストに以前、情報収集のためにもと作ってもらったカメラというまるで絵のように風景を一枚の紙に写すことが出来る譜業で、キムラスカに任務で行ったときにパシャッ、と一枚。よく撮れてるでしょう?ルーク様のお顔」
「パシャッとか!」
「ええ、パシャッとです」
きっと今のアッシュは、自分がいかに取り乱しているのか、気づいていないんでしょうね、と二人のやり取りを見ていたロベリアは苦笑した。
あんなアッシュはそうそう見れるものではない。
普段、厳しく寄せられている眉間の皺も緩み、年相応の表情だ。
今、ここにユーディのカメラがあれば、あの顔を撮っておくのに。
惜しいわ、せっかく可愛いのにとロベリアは吐息した。
「ねぇ、ユーディ。それ一枚だけなの?」
「ええ、残念ながら。何しろ、彼はファブレ邸に軟禁されている身ですからね。望遠レンズで遠くから庭に出てきた彼を取るので精一杯でしたよ」
レンズの反射をライフルのスコープのレンズの光だと勘違いされても困りますし、と肩を竦めるユーディに、それもそうね、と頷く。
写真にじぃ、と見入り、目をちらりとも離さないアッシュに、ロベリアは写真に写っているらしいアッシュのレプリカであるルークを見てみたくなった。
「ねぇ、隊長」
「ん、何だ、見たいのか。仕方ないな。ほら、可愛いだろう」
嬉しそうに顔を綻ばせるアッシュに、若干、頬を引き攣らせながら、アッシュが手に持った写真を見つめる。
レプリカは被験者の情報をもとにしているのだから、同じ顔のはずなのに、こちらは眉間に皺を寄せることなく、花を見て笑んでいるからか、確かに、可愛らしい。
「隊長と二人、並べてみたいわ」
どちらも可愛いだろう。いろいろ着せてみたいものだ。
何も知らなければ、兄弟にしか見えない二人を着飾って並べる姿を、ロベリアはうっとりと思い浮かべる。
これだけの美形の二人となれば、飾りがいもあるというものだ。
「ふふ、楽しみですね、ルッツ」
「ええ、楽しみね、ユーディ」
アッシュとルーク。二人が揃って笑う日が。
その笑顔を見ることが出来る日が。
アッシュの幸せを思い、ロベリアはユーディとともに、写真を見つめ、愛しげに目を細めるアッシュに微笑んだ。
END