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月齢

女性向けブログ。ネタ語りや小説など。ルーク至上主義。

2025.04.20
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2008.03.29
『黒き焔の龍は笑う』
(本編前)

アッシュとセイナの脳内会話。
二人とも、ルークが可愛くってしょうがないんです。
ルークのためならば、迷いもない。





ドサッ、と簡素なベッドに身を投げ出し、アッシュは深く息を吐いた。
昇進して給金が上がったら、もっと寝心地のいいベッドを買ってやる。絶対だ。

「さて…」

手袋を無造作に外して放り投げ、左手の甲を見る。
どういうわけかこの部屋に監視はついていないから、堂々とセイナと連絡が取れるのはありがたい。もっとも声を口に出す必要などないのだが。
というか、あの髭。油断しすぎだろう。
ちょっと従順な態度を取ってやってればこれなのだから、まったくちょろい。
窓から鳩でも飛ばしてキムラスカと連絡を取るとか考えたことないのか。
あいつ、一端、身内にした奴には甘すぎるな。馬鹿め。所詮、髭か、シスコンか。
樽といい勝負だ。

一通り、忌々しい髭総長に対して、心の内で罵言を吐き、アッシュは意識を左手に集中させ始める。
ダアトに来てからというもの、アッシュの語彙は悪い方向で増えていた。
セイナが実はこっそり嘆いていることをアッシュは知らない。

『おい、セイナ』
『ああ、アッシュ様。そちらはどうですか?』
『敬語』
『いちいち細かいな…。はいはい、で?』
『って、いきなりラフだな!…まあ、いい。で、そっちの状況は』
『そうそう、今日、ルークが喋ってさ!』
『何…!何て言ったんだ?!』
『もー、セーナって呼ばれたときは感激だったね!あまりの可愛さに人目ないのいいことに抱きしめちゃった』
『……』
『…何期待してたんだか可哀相だから訊かないけど、僕が一番側にいんだから、当たり前だろ』
『ぐ…ッ!』
『まあ、でも次はアッシューじゃない?…うっかり人前で言わないといいんだけど…』
『誰も気にしないだろ。適当に理由つけとけよ』
『まあ、それもそうか。…あ、で、報告』
『ああ、何かわかったか?』
『ちょくちょくあの樽が王に面会してるね。何回か王との二人での会話も盗み聞いたけど、秘預言のことしか言ってなかったよ。『聖なる焔』には国のために死ぬよう、教育なさった方が、なんて身分も弁えない発言してたねぇ』
『ブタ樽の分際で俺のルークになんてことを…!』
『さりげなく何言ってんだ。それにしても、あの樽、秘預言のこと、どこまで知ってんのかね。どうも聞いてる限りじゃ、キムラスカの繁栄までっぽいんだよねー。あの続きないのかな』
『続き、か』
『うん。だって、ねぇ。永遠の繁栄なんてありえないでしょ。まして、キムラスカは食料のほとんどをマルクトに頼ってるし、そのせいもあって食料の自給方法なんて研究すらされてないからね。今でさえそうなんだから、キムラスカの上層部は何考えてんだか…』
『ふん、どうせ、マルクトを土地があればどうにかなるとでも思ってるんだろ』
『農業ってそんな簡単なものじゃないのにね』

アッシュはセイナと束の間、笑い交わした。
どちらも、キムラスカに向けた嘲りだ。
アッシュのそれには、僅かな自嘲も含まれている。

『まあ、第七譜石は見つかってないわけだから、本当に知らないのかもだけど…なんか嫌な予感がなぁ』
『破滅預言でも詠まれていたりして、か?』
『……』
『……返事しろよ』
『や、ありえるかな、と。実際、あってもおかしくないし…。でもさぁ、それ。髭まで知らないと思う?』
『知ってる可能性はあるな。髭はユリアの子孫だからな』
『うーん、アッシュはなんか聞いてないの?』
『いや。あの髭から聞いてるのは俺がアクゼリュスで死ぬはずだった、ということだけだ。その代わりをレプリカにさせるから、安心しなさいだとよ。お前が死ねって話だ』
『んー…。じゃあ、やっぱりアクゼリュスが分岐点、か』
『だろうな。アクゼリュスで俺もルークも死ななければ、預言と現実は変わり始めるかもな』

二人はしばし黙り込み、思考を巡らせる。
アクゼリュス。崩落の預言が詠まれているのはわかっている。何故かということもわかっている。
力を災いとして──おそらく、それは超振動のことであると、わかっている。

『『鉱山の街』、か』
『何だ、いきなり』
『んー…。預言ってさ、強制力があると思うんだ』
『……不吉なこと言うなよ。それじゃ、『聖なる焔の光』が死ぬことになるだろ』
『それは……。……ねぇ』
『あ?』
『『鉱山の街』ってアクゼリュスだけ?他にはないはず、だよね』
『そのはずだが…』
『それが、僕の不安要素だ。僕は、いや、僕たちは『オールドラント』を知らない』

アッシュは口ごもり、唸る。
セイナの言うことはもっともだ。自分たちは『オールドラント』を知らない。
知っているのは、表面上のことだけ。地図上のことだけだ。実際に見たわけではない。
それだけではない。真実かどうかは別として、オールドラントには様々な説が流れている。
その一つは、大地の下には空洞が広がっているというものだ。
その空洞に同じような街があり、『鉱山の街』があったとしたら。
不安は尽きない。不安が終わる先が、二人には見えない。

『…それでも』
『……』
『それでも、僕たちは、』

『……ああ、俺たちは』

抗ってみせる

二人の脳裏を過ぎるのは、朱色の髪を揺らす一人の子ども。
あの子どもを守るため、あの子どもを幸せにするため、突き進むことに迷いはない。


END

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アッシュの話です。
楽しんで頂ければ、幸いです。

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