月齢
女性向けブログ。ネタ語りや小説など。ルーク至上主義。
舞台としてはアクゼリュス後、ユリアシティから外郭大地に戻った海上あたり。
ネタ語りがここまで進んでないのですが(汗)ザッ、とアクゼリュスあたりまでの概要を…。
あ、このネタはあまり同行者に厳しくはしてませんので、TOAメンバーも原作より仲いいです。
サモ側から飛んできたのが大人たちだけなら厳しくしたと思いますが、ライフェアもいるので…。
ライフェアは思いは伝わる、と信じてる子達だと思うのです。奇麗事って言っちゃえばそれまでだけど、子どもだからこそ持てるそういう強さをルークに教えてあげて欲しいのがこのネタのテーマなので、厳しめにしてなかったり。
詳しくはまたネタ語りで語りたく。
まず、PTメンバーはアクゼリュスまでに常識的に。サモメンバーがいろいろ思い直させました。
また、ナタリアも常識的寄りなので、着いてきません。ガイも公式の場では「ルーク様」呼び。
アクゼリュスには、イオンは着いてきていませんでしたが、ヴァンにオアシスからダアトに戻る途中、アクゼリュスに攫われてきました。
アニスもそれを追いかけて、アクゼリュス到着。(ちなみにアニスも護衛の意味を理解してるので、バチカルからイオンを攫われたときは満身創痍だったり)
ルークはギアンやライフェアにヴァンが超振動は~と言ったのを相談してます。ギアンを通じ、ジェイドにも伝わります(超振動のことはギアンにもわからないので)
ヴァンのことをみんなで警戒していましたが、六神将たちも出張ってきたため、隙をつかれて、ルーク連れ去られ。
イオンはルークを人質に扉を開けさせられ、ルークはイオンを人質に取られて、パッセージリングの前に。
アッシュがヴァンのことを知らせに来て、六神将(シンク&リグ&ラルゴ)を蹴散らし、ギアンたちも急いで駆けつけてきましたが、ルークの暗示発動。
ギアンたちは皆、ルークがヴァンに操られたところを見てます。
アクゼリュス崩落し、みんなは一緒に落ちていたタルタロスに乗り込み、ユリアシティに。
ヴァンに連れてかれてたアッシュがどうにかヴァンから離れ、登場。
止められなかった自身への苛立ちとか、ヴァンにずっと言い含められてきたこともあって、ルークに対する蟠りそのままに八つ当たり気味にレプリカとアッシュは言っちゃいます。
ヴァンに裏切られた精神的ショックや超振動を使ったことで疲労もあり、ルーク気絶。
ユリアシティでルークの看病しつつ、秘預言を聞き、ユリアシティにルークをいつまでも置いておくのは危険と、ジェイドやギアンが判断し、ティアも今度こそ兄を止める、とアッシュも一緒に全員で外郭大地に戻ります。それぞれ反省してます。己を省みることって大事ですよね…。
とりあえず、話の前提としてはこんなところで。いろいろ粗もありますが、ネタ語りのときには煮詰めたのを載せますので(^^;
仲間たちがみんなちゃんとルークのことを考えてます。サモメンバー頑張ったんだな、と思って頂ければ…(苦笑)
それでは長々と失礼しました。
話をどうぞー。
顔を蒼ざめさせ、タルタロスの通路を駆けて来るフェアに、ギアンは目を瞠った。
いつもは澄んだ湖面のような瞳が、今は不安に打ち震えている。
何事かと、フェアの華奢な肩を掴み、ギアンは目を合わせた。
「どうしたんだい、フェア」
「ギアン、ルークを見なかった?!」
「部屋で寝てるんじゃないのかい?」
「ううん、それがいないの…ッ」
ふるる、と首を振り、おろおろと視線を泳がせるフェアの様子は尋常ではない。
いつものフェアらしくもない。
だが、すぐに仕方ないかとギアンはため息を零す。
何しろ、アクゼリュスを掛けられた暗示によって無理矢理引き出された超振動を使って崩落させられ、精神的にも肉体的にも疲労しているところに追い討ちをかけるように、アッシュという名の青年から自身の出生の秘密を知らされたルークの取り乱しようは酷かった。
ルークは、意識を失い、倒れてしまってからは、ずっと懇々と眠り続け、まさかこのまま目を覚まさないのではないかと不安になるほど深い眠りに落ちていた。
そのルークが部屋から忽然と消えてしまっているとなると、不安にならないわけがない。
早まった真似をしていないといいのだが。
「僕も探すよ、フェア」
「うん、よろしくね!私、ライたちにも知らせてくる!」
タタッ、と走り去っていくフェアの背を見送り、ギアンはルークを捜すべく、自身もフェアとは違う方向へと走り出した。
ルークが向かいそうな場所。
タルタロス内で、となるとそう多くはないはず。
意識を集中し、この世界では音素と呼ばれるルークの魔力を探る。
微かに感じるそれを手繰るように、ギアンは足を速めた。
*
「ルーク!」
甲板に出たギアンの目に、風に靡く朱色の髪が映った。
青い海がキラキラと太陽の光を反射し、目に痛いほどに眩い。
無事でよかった、とホッと息を吐き、ルークへと近寄る。
が、来るな!と叫ばれ、ギアンは足を止めた。
「…何だよ、何しに来たんだよ」
「みんな、君を心配して探してるんだよ。まだ無理しない方がいい」
「嘘だ、俺、…俺、人間じゃなかったんだぞッ。本物のルークじゃなかったんだ、偽者だったんだ!記憶だってなくしたんじゃなかった。初めからなかったんだ。俺なんて…誰も、誰も必要としてなかった。師匠だって…ッ。なのに…優しくなんかすんなよ!」
頭を抱え、しゃがみこむルークに、紅い目を細める。
苦痛に歪む、どこか幼さの残る顔。
ぎゅ、と閉じられた目からは、何も零れてはこない。
泣くことも、出来ないのだ。
不器用な子どもが、そこにいた。
(…昔の僕を、見ているようだ)
フェアに出会う前の、フェアに…叱られる前の、自分を見ているようだと、ギアンは息を吐く。
誰もお前を愛してなどいないと、狂気に駆られた祖父がせせら笑う声が耳に響く。
今のルークも、誰も自分のことなど愛していないと、必要としていないと、耳を塞ぎ、目を閉じてしまっている。
絶望に染まり、すべてを拒絶している。
ギアンはゆっくりと歩を進めた。
ルークの肩がびくりと跳ね、また、来るな!と叫ぶ。
けれど、ギアンは歩みを止めない。
怯えた翠の眼差しが、ギアンを見た。
「ルーク、君は自分がニンゲンじゃないと言ったね」
「……そうだよ、レプリカって、やつだって、俺は…」
「僕もね、ニンゲンじゃないよ。半分は、だけど」
「え?」
訝しげに眉を寄せるルークの前で、ギアンの身体が赤い光を放つ。
光が消えると、ギアンの額からは一本の角が生えていた。
ギアンが纏う魔力も密度を増す。
「つ…の…?」
「僕は、ニンゲンである母と幽角獣である父の間に生まれた響界種なんだ」
「あろ、ざいど?」
「そう、アロザイドだ。ルーク、僕もね、ずっと誰にも必要とされていないと、そう思って生きてきたよ」
膝を折り、震えるルークの肩に手を置く。
丸く見開かれた翠の目が、じ、と角を見つめてくる。
その目の中に嫌悪の感情は見られない。
カサスをあっさりと受け入れただけはあるな、とギアンは微笑んだ。
「僕は子どものころ、祖父に実験と称した虐待を受けていてね。この角…幽角獣の力がすぐに傷を癒してしまうから、死ぬことも出来ずに、祖父に娘を召喚獣に奪われた腹いせを受けてきた」
「ッ?!」
ルークが息を呑み、憤りと悲しみに表情を彩る。
自身の苦痛も忘れ、祖父へと怒りを向け、自分を労わってくれるルークの優しさが伝わってくる。
それが嬉しくて、愛しくて、ギアンはルークの肩を抱き寄せた。
優しい子だと、思う。
改めて、まだ七年しか生きていないこの子どもに幸せになって欲しいと、強く願う。
「僕は祖父を憎みながらも…祖父の言葉を信じてもいたんだ。今思えば、馬鹿馬鹿しいことにね」
「何を、信じてたんだよ…?」
「父が、召喚された腹いせで母を孕ませ、そして、捨てて、メイトルパ、自分の生まれた世界へと還った──と、そう祖父に言われるままに僕はそれを信じてしまっていたんだ。信じて…父を憎んだ」
殺したいほどに。
どんな手段を使っても界を渡り、必ず殺してやるとそう誓うほどに。
言葉を失くすルークの背を撫でてやりながら、ギアンはフ、と自嘲を漏らす。
「でも、本当はそうじゃなかった。父はちゃんと僕を愛してくれていた。僕を守ってくれていた。なのに、僕は取り返しのつかない過ちを犯した。…いや、犯しかけた。フェアとライが止めてくれなければ、僕は…」
母がくれたお守りを、大事に取っておいてくれた、フェア。
それを示し、ちゃんと想いを受け取ってやれよ、と叱ってくれた、ライ。
僕のために、命を犠牲にしようとすらしてくれた優しいエニシアを失わずにすんだのは、二人のおかげだ。
フェアとライが止めてくれなかったなら、フェアが笑みを涙をくれなかったなら、僕は過ちに気づかず、父母の想いにも気づかず、世界を歪ませる堕竜としてすべてを破壊しつくしていたかもしれない。
小さな手で、僕の頬を叩き、そして抱き締めてくれた、誰よりも大切なフェア。
いつだって一生懸命に向かってきてくれる、大切な少女。
愛しい愛しい、大好きな、フェア。
フェアが笑ってくれるから、僕は生きていける。
生きようと、思える。
響界種として、人と召喚獣の間を繋ぐ者として。
「ルーク、君も必要とされてる。耳を塞がず聞いて、そして、目を開けて見てごらん」
「……ギアン」
「大丈夫。何も心配はいらないさ」
にこりと笑い、ギアンはルークの手を掴み、一緒に立ち上がった。
さぁ、とその背を押してやる。
ルークがこくりと唾を飲み、ゆるゆると顔を上げた。
ざぁ、と風がルークの髪を波打たせる。
「ルーク!」
たくさんの声が、ルークを呼んでいた。
フェアが、心配したじゃないの!と涙を目に浮かべながらルークに抱きつき。
ミュウがご主人さま、ご主人さまとぼろぼろ泣きながら、ルークに飛びついて。
ライが、腹減ったろ、エビまよ握りとから揚げ、一杯作ったぞ!と笑って。
アニスが、アニスちゃんも手伝ったんだから、しっかり食べなきゃ怒るよ!と涙を拭って。
イオンが、あなたが目を覚ましてくれたよかった、と泣いて笑って。
ティアが、兄さんを止められなくてごめんなさいと泣いて謝って。
シンゲンが、祝いの唄を一曲!と三味線を爪弾いて。
カサスが、おはようございマス、ルークさん!と嬉しそうに言って。
ガイが、俺の主人はお前だけなのに何勝手にいなくなってんだよ、と泣き笑いで怒って。
ジェイドが、レプリカだと気づいておきながら黙っていてすいません、貴方が目覚めてよかったと、眼鏡を抑えて俯いて。
みんながみんな、ルークを待っていたと、ルークが目を覚ましてくれてよかったと、喜んでいた。
「みん、な」
「言っただろ?君は必要とされているって。…君は、ここにいていいんだよ、ルーク」
僕がそうであったように、この世界が君の生きる場所なのだから。
ルークの手がギアンの角をそっと撫で、翠の瞳から、ぽろりと一粒、涙が落ちた。
あとはもう、止まらなかった。
ぼろぼろと涙は次から次へと溢れ出し、ルークの頬をしとどに濡らす。
フェアが腕を伸ばし、ルークの頭を胸に抱えた。
一杯一杯、泣いていいよ、と自身も泣きながら、フェアが言う。
「フェア、俺…アクゼリュスのこと…償いたい…ッ」
「うん、みんなで一緒に頑張ろうね」
「っ、う、うあああ!」
フェアの小柄な身体を、縋るようにルークが抱き締め、声を上げて泣いた。
抑え込むばかりだった涙をぼろぼろと流して、子どもが大声で泣く。
みんなが支えるようにルークへと歩み寄っていく。
「……ルークに居場所を取られたと、君は言っていたね、アッシュ」
「……」
ギアンは背後にちらりと視線をやり、ルークたちから目を逸らすアッシュに目を眇めた。
長い紅い髪が、風に舞っている。
部屋から消えたルークを、アッシュもまたこっそりと探しに来ていたらしい。
七年間の間、ヴァンに洗脳され、植えつけられてきたルークへの憎悪だ。
そう簡単に消えはしないだろうけれど、彼なりに思うところもあるのだろう。
酷く複雑そうに顔を歪め、海へと視線を向けるアッシュを見やりながら、ギアンは魔力を抑え、角をしまった。
「君の苦しみもわからないではないけれど、あの場所は、ルークが自分で得たものだ」
「……」
「あれも、本来は自分の場所だと、君に言えるかい?」
「……俺は」
ぐ、と唇を引き結び、アッシュが一度、足元に視線を落とす。
そして、やがてゆっくりと顔を上げ、ルークを見つめた。
その翠の目に、今までとは違う光が覗いていることに、ギアンは小さく笑みを零し、自分もまた、みんなに抱き締められているルークへと足を向けた。
END
リクエストにご期待できているのでしょうか…(ドキドキ)
ギアンの心情など、楽しんで書かせて頂きました。
少しでもアマエさんのお気に召して頂けたなら幸いですー。
リクエスト、ありがとうございました!
ルークの子供らしい弱さと強さ、ギアンの(フェアの愛で得ることが出来た)優しさ、フェアの可愛さ(笑)、改善型PTとの結束……どれも堪能させていただきました。ギアフェアはSN4で一番好きなCPなので、ギアンとフェアのツーショットまで見れてとても幸せです。このルークはPTやSN4のみんなに支えられながら、元気に世界を救ってくれることでしょう♪ その辺りはネタの続きで書かれるのでしょうか……楽しみです!!
素晴らしい小説を書いてくださり感激の嵐ですっ。ところでリクエスターによる持ち帰り&頂き物としてサイト掲載は可能なのでしょうか? NGなら無理にとは申しません(礼) 本当にありがとうございました。これからも頻繁に通わせていただきます!!
気に入って頂けたようでホッとしましたーv早く仕上がったのは、実は、リクを頂いたその日のうちから書き始めていた次第だったもので…(笑)
素敵と言って頂けてよかった…!
ギアフェアを組み込んでしまったのですが、アマエさんも一番好きなCPですか!いいですよねー、ギアフェア。
この話のルークは幸せになってくれることと思います!というか、目指してネタ煮詰め中です~。
楽しみにして頂けているとのことで嬉しいですv続きも、頑張りますね!
またこのSN4×TOAネタはところどころ抜き出しのような形でssを書いていこうかな、とも思ってるので、気長にお待ち頂ければ幸いですー。
おわー、サイト掲載はもちろん大丈夫です!むしろ嬉しいです!ありがとうございますv
もし勘違いじゃなければ、アマエさんのサイトに私も頻繁に通わせて頂いているので、光栄ですー。
ご自由にお持ち帰りしてやって下さいませ!
…そういう旨を書いておくことを忘れていたことに今気づきました(汗)あわ、書いておかなきゃ。
これからも通ってくださるとのことで、頑張っていきますね!
リクエスト、本当にありがとうございましたv