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月齢

女性向けブログ。ネタ語りや小説など。ルーク至上主義。

2025.04.21
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2008.06.03
ss

黒ルク黒ナタ。真っ黒カップル。
アクゼリュスイベントだけで本当何本もネタが出来ますね(苦笑)
イオン様も真っ黒です。
ガイはルークの下僕状態。ルークさえ幸せならそれでよし!なガイ。
ジェイドもルークたちに協力。
ティアとアニスとアッシュに厳しいです。

注!女性陣(ナタリア除)&アッシュ厳しめ





この世で恐ろしいことは、と問われれば、ルークは、躊躇いなく答える。
ナタリアを失うことだ、と。
同じ問いにナタリアもまた、迷うことなく答える。
ルークを失うことですわ、と。
だから、二人を裂こうとする者を、ルークもナタリアも許さない。
そして、二人は、今まさに、二人の絆を裂かんとする『鮮血のアッシュ』を並んで睨んだ。

「あら、自首しに来ましたの、鮮血のアッシュ。よい心がけですわね」
「ま、今更、自首してきたところで、死罪は免れないだろうけどな」
「まあ、ルークったら。そんなはっきり言ってしまっては、逃げてしまうかもしれませんわよ?」

にこやかに、ルークの腕を軽く抓るナタリアに、アッシュが目に見えて狼狽する。何故、とその口が幾度となく動いていた。周りの人間を見やれば、どうやら不思議がっているのは、一人だけではないらしい。
盾にも、ヴァンの抑止にもならなかった役立たずの罪人が、栗色の髪を振り乱し、「何を言っているの、ナタリア!」と身分も弁えず、忠告してきた。同じく護衛の任も果たせない無能極まりない導師守護役も、ルークへと侮蔑の視線を向け、ナタリアに疑問の目を向けてきている。

「大丈夫だよ、ナタリア。逃がしたりなんてしねぇから。なぁ、ガイ」

ルークがそんな二人を一顧だにせず、ナタリアに微笑み、使用人兼護衛であるガイに指示を出す。持ち前の俊敏さを活かし、ガイはあっという間にルークの命に応えて見せた。
ガイに上から押さえつけられ、頭を地面へと擦り付けられたアッシュが、悲鳴じみた唸り声を上げる。

「ふざけるな、ガイ!俺こそがお前の本当の主人…ぐぅッ」
「ふざけるなってのは、俺の台詞だ。お前が本当の主人?馬鹿を言え。我が尊き神にも等しい主、ルーク様への侮辱以外の何物でもない…!」

忠実を通り越し、ルークを崇め奉らんばかりのガイに、ルークの頬が僅かに引き攣る。そんなルークに苦笑し、ナタリアはルークの指に、自分の指を絡めた。ルークと視線を合わせ、微笑みあう。
ガイに押さえ込まれていることよりも、仲睦まじい二人の様子の方が、アッシュには衝撃だったらしい。血の気の引いた顔で、愚にもならないことを口走っている。眉をひそめるガイに、ヴァンを縛り上げ、槍を突きつけているジェイドが布を放って投げた。猿轡にしろ、ということらしい。

「ガイも大佐もナタリアも!一体、どういうつもりなの!」
「何がですの?」
「どういうつもりもないと思いますが」
「お二方の言うとおりだ。罪人を縛り上げて、何が悪いんだ?」
「何言ってんの、ガイってば!アッシュはそこの人間もどきがアクゼリュス落とすの、止めに来てくれたんだよぉ?だったら、罪人は馬鹿なお坊ちゃんの方じゃ…キャッ!?」

ルークを指差し、罵詈雑言を並べ立てるアニスの頬に、打音が響く。アニスが驚愕に目を見開き、赤く腫れる頬に手を当て、自分の頬を張った手の主を恐る恐る見つめた。

「い、イオン様…?」
「ヴァンとモースと、そこの罪人のせいで、ただでさえダアトの評判はガタ落ちだというのに、これ以上、ダアトを追い詰めるのは、止めてくれませんか、アニス」
「え、わ、わたし、そんなつもり」
「まったく、本当に救いようがないですね。ですが、もうあなたと一緒にいなくていいと思うと、せいせいします」

にこ、とイオンは眩いばかりの笑みを零し、アニスから目を逸らした。見ているだけでも、腹が立つと言わんばかりに。アニスがガタガタと震え、イオンへと手を伸ばした。けれど、その手は届く前に、揺れ動いた空気に弾かれた。空気中に溶けていた第七音素が形を成し、シンクへと姿を変える。

「導師に触れないでもらおうか、アニス・タトリン」
「シンク?!あんた…あんたがイオン様を唆したんだ!」
「はぁ?意味わからないんだけど。本当、粗末な頭だね。モースもよくこんな使えないスパイ、選んだもんだよ」

スパイ。その一言に、アニスの肩がビクリと跳ねた。何言ってんの、と震える声で否定するが、取り繕うには遅すぎる。仮面の下で、にぃ、とシンクが楽しげに笑う様に、ナタリアとルークは、いかにシンクがアニスを疎ましく思っていたかを、改めて知った。もっとも、それはシンクだけではなく、アニス自身が目を離してはいたものの、それでも、なるべく一緒にいなければならなかったイオンにも言えた。

「ねぇ、アニス。僕が役立たずのあなたを側に置いておいたのは、あなたがモースのスパイだったからです」
「い、イオン様…あたし…」
「ふふ、利用してあげたんですよ。役立たずのあなたをね。嬉しいでしょう?僕は、あなたに嘘の情報を掴ませて、モースを言いように操っていたんです。でもヴァンを捕らえた今、その必要もなくなりました。スパイとして、きっちりダアトで裁いてあげますね、アニス」

楽しみにしていてくださいね!
晴れやかに告げたイオンに、アニスの絶叫が響き──すぐにシンクによって、意識を奪われた。
憤然と顔を赤らめ、次に叫んだのは、ティアだった。

「お待ち下さい、導師イオン!アニスはまだ子どもなんです、ですから…!」
「だから、何だよ。馬鹿馬鹿しい」

子どもだから、で許されるほど、アニスが犯した罪は甘くない。ルークは肩を竦め、嘆息する。これ以上、馬鹿とは付き合いきれない。そう呟くルークに、ナタリアは首を縦に振り、同意を示した。今度はルークとナタリアの二人へと、ティアが怒りの矛先を向けた。

「あなたたちには、情というものがないの?!王族というのは、本当に傲慢ね!」

一応、ナタリアとルークの二人が、王族であることはわかっているらしい。わかっていても、理解していなくては意味がないが。
王族相手に意見できるような立場ではないことを理解しようともしないティアに、ナタリアはルークと揃って背を向けた。聞く耳を始めから持たぬ者に説教している時間はない。
そんな疲れたように吐息する二人に、代わりましょう、とジェイドがス、と眼鏡の奥で目を細めた。

「アニスがタルタロスの乗員、百四十名余りの命を危機に陥れるところだった、としてもですか?」
「え…?ど、どういう意味ですか…?」

ぽかん、と口を開け、間の抜けた顔を晒す軍人相手にしか敬語を使えない愚か者に、ルークたちは眉根を寄せる。軍人であるティアよりも、王族であるルークとナタリアの方が、よほど軍人とはいかなるものかを、理解していた。だからこそ、ティアを二人は蛇蝎のごとく嫌った。
二人が、命を張って、戦場に立つ軍人への敬意を忘れたことはない。だが、ろくに戦場に立ったこともないのに、軍人だという理由だけで、まるで戦場で命を懸けてきたのだと臆面もなく胸を張るティアには、嫌悪しか感じないのだ。
武器を持つなら戦え、殺せなどと戯言を言えるのは、ティアが真に死を理解していないからだと、二人は思っている。死を理解している者は、生も理解している。それだけに、無益な殺生を避けようとする。
軍人とは殺すためにいるのではない。守るためにいるのだと、それを理解しないティアに、ルークもナタリアもジェイドもガイイオンもシンクも、侮蔑の視線を向けた。ヴァンもまた、失望したように俯いている。

「アニスはスパイだと言ったでしょう。タルタロスが辿る陸路も、彼女はモースに報告していたのですよ。もっとも、教えたのは偽の陸路で、モースに命じられるままに向かったアッシュやリグレットたちは人っ子一人ない草原で待ちぼうけを喰らったようですがね」

くつりと喉を鳴らして笑うジェイドの赤い目は、凍てついた色を宿し、アニスを見下ろした。アニスは意識を失っていて、幸いだっただろう。その目は、向けられていないルークたちでさえ、思わず、目を逸らしたくなるほど冷え切っていたのだから。
死霊使いという二つ名は伊達じゃないな、と息を呑むルークに、ナタリアは頷く。

「これ以上、無駄話をしている時間はありませんわね」
「そうだな。ティア、お前の役目もここまでだ。つっても、たいした役目じゃなかったけどな」
「何ですって?!私はモース様に命じられて、アクゼリュスの人たちを助けに来たのよ!ヴァンに言われて、アクゼリュスを崩落させようとしていたあなたと違ってね!」

誇らしげに胸を張るティアに、ルークが呆れ返って天を仰いだ。そんなルークを労わるように、ナタリアはルークの背を撫でる。ここまで救いようのない人間がこの世にいるとは。私もまだまだ勉強不足ですわ、と呟くナタリアに、ルークがそんな勉強いらねぇよ…、と苦笑った。

「何にもしてねぇってのに、敵の言葉でここまで決め付けられるって、ある意味、才能か?」
「ものすっごく役に立たない才能ですね、ルーク様」
「あー、うん。だよな。…もういいや。アッシュは縛ったんだよな?じゃあ、やっていいよ、ガイ」

ぱっ、とガイが顔を輝かせ、ルークへの怒りに顔を真っ赤に染め上げたティアの胸を、深々と貫いた。背中を抜けた剣の切っ先から、ぽたぽたと血が滴り落ちる。

「あ…、な…んで…」

最期まで己の罪も浅はかさも理解しないまま、ティアはガイによって蹴り飛ばされ、ずるりと剣から抜け落ち、崩れ落ちた。
ヴァンがくぐもった叫び声をあげる。ナタリアとルークはそんなヴァンの前に立ち、鮮やかな笑みを浮かべた。王者の風格を備えた笑みに、ヴァンの目が驚愕に見開かれた。

「ご心配には及びませんわ」
「すぐに、妹に会えるようにしてやるからさ」
「尋問と拷問の後になりますけれど。でも、私にルークをくださったお礼に、なるべく楽に死なせて差し上げますわね」

華やかな笑みを零し、ナタリアは愛しげにルークを見上げた。ルークも慈しむように目を細め、ナタリアを見つめる。ヴァンはレプリカと、所詮は預言頼りの頭のない王族と侮っていた者たちに欺かれていたことに、愕然と項垂れた。その顔には、もう生気も感じられなかった。

「さて、こっからが大仕事だな」
「ずいぶんと無駄な時間を過ごしてしまいましたからね。早速取り掛かりましょう」

ナタリアはジェイドの指示を仰ぐルークから離れ、両の指を組み、愛しい未来の夫の背を見守った。ガイやイオンたちもまた、同じようにルークの背を見守っている。
ルークと自分を引き裂くものがあれば、たとえなんであろうと、排除してみせる、とナタリアは唇を引き結ぶ。ルークが隣にいない未来など、ありえないことなのだから。

ルークが意識を集中させ、放った超振動により、アクゼリュスのパッセージリングは無事、砕け散ることなく、他のパッセージリングとの繋がりを断ち切り、アクゼリュスはゆっくりと降下を始めた。


END

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