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月齢

女性向けブログ。ネタ語りや小説など。ルーク至上主義。

2025.04.21
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2009.04.25
ss

子アシュルクナタ+ガイ。
アッシュとルークが双子で、ガイはガルディオス家の生き残りとかではなく、どこかの貴族の末っ子とかでファブレ邸で働いてます。しっかり使用人。
アッシュもルークもナタリアも子どもで、三人できゃっきゃしてるのを見守る、ガイ。
そんなほのぼのssを、一本が短いので、二つまとめて。
たまにほのぼのしているのを書きたくなるんだ…。






きゃあ、とナタリアとルークが二人、頬をくっつけあい、転げるように笑いあう。
それをアッシュは大人びた視線で見つめ、肩を竦めた。まったく、ガキだな、と言わんばかりに。
首を振るその様を、背後で世話係の少年が、肩を震わせ、笑い出しそうになるのを耐えているとも知らずに。ガイからしてみれば、ルークと双子でありながら、一人、わざと大人ぶった態度を取るアッシュも、同じように幼い子どもだったから。

(まったく、可愛らしいこって)
素直ではない兄と素直な弟と。まるで正反対のようだけれど、よく似た双子の主。
そして、そんな双子に満面の笑みを贈る幼馴染の王女様。
三人が三人、身分の差はあれど、ガイにとって可愛らしい弟妹たちのようで。

「何だよ、アッシュ!アッシュもこっちで遊ぼうぜ!」
「オレは花で遊ぶなどと、そんな子どもじみた遊びをするつもりはない」
「あんなこと言ってるよ、ナタリア」
「まあ、アッシュったら、生意気ですわ。わたくしより年下ですのに!」

ぷぅ、と頬を膨らませ、ナタリアが腰に手を当て、アッシュを睨む。途端に、アッシュの視線があちこちへと泳ぎ出し、しどろもどろに両手を振って、ナタリアのことを馬鹿にしたわけじゃない、と言い訳をしだした。
ナタリアの横で、ルークがけらけら、腹を抱えて笑い、ナタリアもすぐにぷひゅっと口から空気を吐き出し、笑い出した。

「でしたら、こっちに来て下さいな」
「だが」
「ほら、アッシュ!」

ルークとナタリア、二人の小さなふっくらとした白い手が、アッシュへ向かって差し出される。にこにこ、眩いばかりに満面の笑みを浮かべてアッシュを誘う二人に、アッシュが惑うようにたじろいだ。
小さく笑って、ガイはその小さな背を軽く押してやろうと、そっと耳打ちした。

「ここで行っておかないと、あの二人のことですから、あとでアッシュ様のおやつ、罰だーなんて言って、取り上げますよ、きっと」
「…ぐ、お、オレは別に…おやつなんて…」
「今日はシェフ特製のチェリーパイです。いいサクランボが入ったから、腕によりをかけて作るぞ、ってシェフが張り切ってたんですが、そうですか、いらないんですか。それは、残念」
「…行ってくる」

ぽつ、と呟き、アッシュが二人のもとへと走り出す。噴出しそうになるのを唇を噛んで、ガイは耐えた。
ああ、まったく本当に!

(愛しいご主人さまたちだよ、本当に!)
可愛くて可愛くて、仕方がない。
二人の手を取ったアッシュに、視線を交わしたルークとナタリアの二人が飛びついて。

「うわ?!」

アッシュの頬に、ちゅ、と揃って口付けた。ボッ、とアッシュの顔が真っ赤に染まる。
とうとう耐え切れず、ガイは笑い出した。

「笑うな、ガイ!」
「あっははは!」

耳まで赤くなって怒鳴るアッシュと、目尻に涙が滲むほど笑うガイに、ルークとナタリアがしてやったりとばかりに、パンッ、と手を叩き合わせた。


END

 



ガイ、と酷く切羽詰った声でルークに呼び止められ、ガイは眉を跳ね上げ、即座にルークの前に膝を着いた。
どうしました、と朱色の髪で縁取られた顔を覗き込む。ルークの幼い顔からは血の気が引いていて、ガイは内心、舌を打った。

(具合が悪かったのか…?)
常と変わらぬ様子で朝食を取っていたのに。もし、本当に体調が悪いのならば、世話係にも関わらず、見逃してしまっていた己の失態だ。
とにかく、熱を測ってみよう、と手をルークの額に伸ばしかけたところで、ルークがカタカタ震えだした。

「ルーク様!?お寒いのですか!?」
「どうしよう、ガイ」
「あああ、どこかお具合でも…ッ。今、医者を…!」
「ナタリアが、お菓子作って持っていくから、楽しみしててって…!」
「……は?」

ぽかん、と呆気に取られるガイに、ルークの小さな手が手紙を一通、差し出してきた。確か、今朝、城からメイドが持ってきたナタリアからの手紙だ。
読め、と言うルークに頷き、受け取り、文面に目を通す。
読み終えたガイは、とりあえず、ルークの体調が悪くなったわけではないことに安堵したが、すぐに別の不安に駆られた。
──アッシュとルークの二人が、揃って腹を壊すことになるな、という不安に。

(下手したら、寝込むことになるんだよなぁ)
ナタリアの手作りお菓子。それはアッシュやルークにとって、恐怖の象徴だ。
何しろ、威力が凄まじい。味、見た目、匂い。どれを取っても、完璧からは程遠い。
以前、ナタリアがマフィン(らしきもの)を焼いて持ってきたときには、健気にもナタリアを喜ばせようと頑張ったアッシュとルークの二人は、結果、二日寝込む羽目になった。その惨状は、ガイの脳に色濃く残っている。

「どうしよう、ガイ。なぁ、どうしよう?!」
「…どうしましょうか」

アッシュ様はどうしましたか、と周囲にいないアッシュの行方に首を傾ぐ。弟を置いて逃げるような真似は、アッシュの性格上、しないはずだが。
ルークがふ、と表情に影を落とし、部屋で胃薬飲んで、必死でローレライやユリアに、ナタリアの料理が成功しますようにって祈ってる、と呟いた。
ひく、とガイの頬が引き攣る。

「本当、どうしたらいいんだよ」
「……医者の手配をしてきます」
「お前まで諦めるなよー!」

何か考えろよ!とルークが半ば、泣きながら、ガイに縋る。そう言われても、どうしろと言うのだ。
ガイは心のうちで、全音素集合体とユリアへと祈りを捧げる。どうか──せめて、アッシュ様とルーク様のお二人が無事でありますように、と。

「こんにちは、ルーク!ここにいましたのね」

おやつの時間ですわよ!
愛らしい声と眩い笑みとともにひょっこり顔を出したナタリアに、ビクゥとルークの肩が跳ねる。ギギギ、とまるで油の足りないブリキのおもちゃのように首を回すルークより先に、ガイはナタリアが両手に抱えたバスケットに気づいていた。
目の錯覚か、なにやら不穏な空気を醸し出しているように見えるバスケットに。

「ガイ、アッシュを呼んできてくださいな」
「…かしこまりました」

顔を強張らせながらも、ぎくしゃくとナタリアと挨拶を交わし、必死でバスケットから目を逸らしているルークに憐れみを抱きつつ、ガイは立ち上がり、アッシュの部屋へと向かう。
その背に、あ、とナタリアが声を掛けた。

「今日はクッキーをたくさん焼いてきましたの。ガイもぜひ食べてくださいましね」
「!?い、いえ、私は…」

仕事がある、と断ろうとしたガイを、ルークのじとっと粘りつくような視線が突き刺した。
逃げたら、許さねぇ。昏い翡翠の目が言っている。
殺気すら篭っているかのような目に、ガイはごくりと唾を飲み込み。

「あ…ありがたく、頂戴させて頂きます…」

背中にだらだらと冷や汗を流し、頭を下げた。
心の中で、滂沱の涙を流しながら。


END


ナタリアの料理ネタはよく見るけど、そういえば、自分では書いたことなかったような…。
ほのぼのして頂けたら幸いです。
 

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楽しんで頂ければ、幸いです。

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