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月齢

女性向けブログ。ネタ語りや小説など。ルーク至上主義。

2025.04.21
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2008.07.31
ss

ブログの調子が悪くて、一度、更新失敗しました…orz
アンケートへのご協力、ありがとうございますー!
ディスルクの伸びっぷりに驚いてます。あまりコメントもらったことないので、うちのディスルクはどうなんだろうと思っていたのでホッとしたというか(苦笑)
このアンケート、1日の夜中の1時からメンテが入るみたいですー。

今日のssはアシュルク。
アッシュもルークも黒。
外郭大地降下後、ヴァンを捕まえて、本編軸としてはそこで終了してます。これはその後の話。
ファブレ家に捏造入ってます。

注!ガイ&ナタリアに厳しめ




アッシュの執務机の前に、ルークは身を屈めた。机越しに、じ、と翡翠の目をアッシュへと向ける。
何も言わず、ただ視線だけで、ルークはアッシュを咎めていた。

「……わかった。わかったから、そんな目で俺を見るな」

アッシュが視線に耐え切れなくなるのに、時間は掛からなかった。
右手で顔を覆い、苦笑している。にっ、とルークは満足げに笑った。

「やっぱこの手がいっちばん効くなー」
「目は口ほどにものを言うとは、よく言ったもんだとお前の目を見てるとつくづく思う」
「あはは」

アッシュがなかなか休憩取らないのが悪いんだよ、とアッシュの眉間の皺を指先で解す。働きすぎだと、ため息を零す。身体を壊しでもする前に、きちんと休みを取って欲しいと、ルークは呟くように言う。
されるがまま、目を細めたアッシュが仕事が溜まってるんだと、ため息を吐いた。
ルークの眉間に、アッシュに負けず劣らず、皺が寄る。

「仕事が溜まってんのは、アッシュのせいじゃないだろ」
「それはそうだが…今では、俺の仕事だからな」
「そりゃそうだけどさぁ」
「それに、お前だって俺のことばかりは言えんだろ。ちゃんと寝てるのか?」

そっと親指の腹で目の下の隈を撫でられ、ルークは気まずそうに頬を掻き、肩を竦めた。
自分たちの仕事が今、溜まってしまっているのは、元はといえば、前王インゴベルトが無能なせいである。
預言にかまけ、預言だけを信じ、現実に則した目を持つことが出来なかったインゴベルトが行っていた政治は、どれも世迷言に近い。
その最たるものが、マルクトとの間に起こそうとした戦争だ。自国の食糧をそのマルクトに頼っているというのに、よくも戦争をしようなどと思ったものだ。
エンゲーブからの食糧の輸入が止まれば、自給率の低いキムラスカでは、飢饉があちらこちらで起こり、結果、戦争など続けることが出来なくなると、容易に想像出来るというのに。
そのインゴベルトは、外郭大地降下作戦が成功した直後、救世の英雄となったアッシュとルークが元帥であるクリムゾンとともに民や有力貴族を味方につけ、民よりも預言を選んだ愚王として、謀反を起こし、玉座から引き摺り下ろされている。
王にはアッシュとルークが成人するまでの間、クリムゾンがついている。実際に政治を動かしているのは、アッシュとルークの二人だが。

ルークはアッシュに美味しい紅茶を淹れてやりたくて、メイド頭に教わったとおりに紅茶を淹れ、アッシュへと差し出した。
ふわりと漂うダージリンの香りに、アッシュが目元を笑みに緩め、一口啜る。
ドキドキと胸を高鳴らせながら、アッシュの反応をルークは待つ。カップをソーサーへと戻したアッシュが、にこりと笑んだ。

「紅茶淹れるの、うまくなったもんだな」

褒められたルークは、ぱっと顔を輝かせ、にこにこと頷いた。
アッシュに褒めてもらえたことが、嬉しくて仕方がない。
そんなルークに、アッシュもまた微笑んだ。

「アッシュに美味しいの飲んで欲しくて、頑張ったからな!」

ルークは頬を淡く朱に染める。アッシュが目を細め、朱金の髪に指を絡ませた。
くん、と軽く引っ張られるままに、アッシュへと顔を寄せる。
唇が触れ合う直前、扉をノックする音が部屋に響いた。視線を合わせ、互いに苦笑する。

「誰だ」
「ラムダスでございます」
「入れ、何かあったのか?」

アッシュの許可を得て、扉を開けたラムダスに、机に腰掛けたルークは、アッシュと一緒に首を傾げた。
お寛ぎのところ申し訳ありません、と悔やむように言うラムダスにアッシュとちらりと視線を交わす。
ラムダスはルークがティーセットを持ってアッシュのもとへと向かったことを知っていた。そのラムダスが、自分たちの貴重な休憩時間に姿を見せるとは。
ファブレ邸の使用人たちは、ラムダスを始め、皆、休憩時間は、ルークとアッシュが二人でいられるようにしてくれていた。

「…ガイが、来ております」
「ガイが?」

ルークは器用に片眉を跳ね上げた。今ではマルクトでガルディオス伯爵と呼ばれるガイが、一体、キムラスカまで何をしにきたのか。
考えるまでもないだろう、とアッシュがちら、とゴミ箱を見やった。ああ、とルークも頷く。
ゴミ箱の中には、ガイからの手紙があった。それも一通ではない。何通もある。
以前は、一応、中身を確認する意味合いで二人とも読んでいたが、届く手紙はどれも同じ内容であり、意味のないものであることに気づいた二人は、最近では差出人のガイの名が記されているのを確認するや否や、封を切ることもなく捨てるようにしていた。

「直接、言いに来たってことかな。ピオニー陛下が許すとは思えないんだけど」
「勝手に出てきたんだろ。あとから謝れば、わかってくれるとでも勘違いして。…フン、ファブレ邸に堂々と姿を見せるとは、いい度胸だ」

ガイを知るファブレ邸の使用人たちは、誰もがガイを嫌っている。以前はガイへと想いを寄せていたようなメイドも、今ではまるで仇のように嫌っている。
彼らがガイを嫌うのも、当然だ。何しろ、ガイは復讐目的でファブレ邸で働いていたのだから。もしかしたら、主人もろとも、自分達も殺されていたかもしれない。ガイに裏切られたと、そう思う者は多い。
だが、ガイはそのことに気づいていない。以前と変わらず受け入れられるものと、己にとっていいように考え、その考えを疑いもしていない。

「いかが致しましょう?」

相手が元使用人というだけならば、問題はなかった。追い出せばすむことだ。
が、相手が和平を結んだ国の伯爵となれば、使用人たちは無碍に出来ない。
自分たちが相手をした方がいいね、とルークはアッシュに言った。仕方ない、とアッシュが頷き、立ち上がる。

「思い知らせてやるか、ルーク」
「ふふ、いいね、アッシュ」

笑みを交し合い、二人はガイがいるという玄関ホールへと向かった。白光騎士に阻まれ、玄関ホールに留められたガイが、そこにいた。

「ルーク!」
「何でここにいるんだ?」

ルークはガイに向かって首を傾ぐ。すれば、ガイは当然のように「お前を迎えに来たんだ」と言い切った。
呆れて、物も言えない。
「アッシュも久しぶりだな」とアッシュへとちらりと向けられたガイの視線は冷たかった。そのことに、ルークは内心、眉を顰める。
不快だった。

「迎えって…なんで俺がお前のところに行くって思ってるわけ?」
「可笑しなこと訊くなぁ、ルーク。お前には俺がいないとダメだろ?でも、お前は優しいから、アッシュの居場所を奪った償いをしなきゃならないとでも思って、アッシュの側にいるんだろ。それは違うぞ、ルーク。お前にだって幸せになる権利はあるんだ」
「……アッシュ、あれって何語かな。古代イスパニア語?俺、古代イスパニア語、苦手なんだよな」
「古代イスパニア語のほうがマシだと思うが」
「あー、うん、だよな」

はは、と乾いた笑いをアッシュと交わす。ガイといい、ナタリアといい、あのときの同行者たちは何故揃いも揃って自分の考えが正しいと疑わないのだろう。
はぁ、とため息を零し、ルークはガイへと一歩近寄った。

「俺の幸せの場所はここだよ、ガイ」
「何を言って…」
「アッシュがいる場所が、アッシュの側が俺の幸せの場所。…だから、俺とアッシュを引き離そうとする奴は許さない」

にこりとあどけない様で、微笑む。ガイが戸惑うように視線を揺らした。

「ナタリアもそうだったよ。アッシュの隣にいるのは、自分こそが相応しい、だってさ。レプリカも人だと言った口で、レプリカのくせにアッシュの隣に立とうなんておこがましいって言われたよ」

己が偽者であることも忘れ、いや、だからこそ、王女であるためにアッシュを望んだ、ナタリア。
彼女はもうキムラスカの王女ではない。王への謀反や偽姫であること、キムラスカよりもマルクトの民を救うのを優先したことなど、あげればキリがない罪状を並べ、玉座から引き摺り下ろしたインゴベルトとともに処刑した。
王の命令を無視し、勝手に城を抜け出したことで処分されたメイドや騎士たちが中心となり、ナタリアがいかに飾り物でしなかったかということも明らかになり、処刑への反論はほとんどなかった。それでも、かろうじて残っていた反論も、公開処刑時の見苦しさに消えた。アッシュへと約束を口にし縋り、ルークをレプリカと罵倒する姿は、民衆が求める気高い王女の姿とはかけ離れたものだったからだ。
代わりに、ナタリアの非難を顔を青ざめさせながらも健気に受け止め、レプリカであろうと堂々と振舞ったルークや、ルークを労わり、優しい瞳で支えとなったアッシュへの評価が上がっている。
淡々とルークは笑みを零し、ガイに言った。ガイだって許さないよ、と。

「俺はお前なんていらない」
「ルーク…!?」
「使用人としても伯爵としても無能な奴なんて、いるかよ」
「どういう意味だっ」

ルークへと詰め寄ろうとしたガイに、白光騎士たちの槍が向く。
ガイが息を呑み、身体を強張らせた。
アッシュがス、とルークの横へと足を進めた。

「主に敬うことすら出来ない使用人に何の価値がある。それに、ガイ。お前、ここに来るのに、ピオニー陛下の許可は得たのか」
「許可?友人に会うのに何で許可がいるんだ」

アッシュが額を押さえ、仰向く隣で、ルークは頬を引き攣らせる。自分の立場をここまで理解していないとは。道理でブウサギの世話などさせられているわけだ。
ホド戦争の不満を抑えるために、ガルディオスの地位をガイへと返したのだろうが、ピオニーも無能者の扱いにはどうやら困っているらしい。

「じゃあ、今回ってあれかな。わざと見逃したのかな、陛下」
「かもな」
「…迷惑料もらわないと」

まったく。ルークは肩を竦め、ス、と表情を変えた。笑みを消し、ガイへと鋭い目を向ける。

「ここがキムラスカだってわかってるか、ガイ。しかも、ここはファブレ邸。国の中枢を担うアッシュと俺が住まう屋敷だ。平民はもちろんのこと、貴族だって、たとえ友人だろうが、俺達に会うには事前の許可がいる。なのに、お前は俺達の許可も取ろうとしなければ、国を出る許可だってピオニー陛下からもらってこなかったみたいだな。わかってるか?お前は伯爵だって。しかも、ピオニー陛下のすぐ側で重用されてる。そんな奴が許可もなく、和平を結んだとはいえ、長年の敵国であり、かつて復讐目的で潜り込んでた屋敷に来ていいなんて思うのか」

ピオニーがガイをすぐ側に置いたのは、監視目的もあったんだろうけどな、とルークは目に見えてうろたえ始めたガイにため息を零しながら、考える。
ガイはホド戦争の生き残りであり、世界を救った英雄の一人とされている。そんなガイを、ピオニーを面白く思っていない者たちが持ち上げ、旗印とし、謀反を起こす可能性はないとは言えない。

(でも、これでガイも終わりだ)
ガイは自分とアッシュの、次期キムラスカ王の怒りを買った。これで、ピオニーも堂々とガイを処分する口実を得られたと喜んでいるだろう。
アッシュの腕に自分の腕を絡め、にこりとルークは満足そうな笑みをアッシュへと向ける。
アッシュもまたルークへと微笑んだ。
その笑みは、お互いにお互いを満たす二人だけの笑みだった。ガイが言葉を失った。

「さよなら、ガイ。もう会うこともないだろうな」

手をひらりと振り、白光騎士たちに『丁重に』ガイを港へと送るよう指示すると、アッシュとともに、腕を組んだまま、ガイへと背を向ける。
ルーク、とガイが縋るようにルークを呼んだが、ルークが振り返ることはなかった。

「紅茶淹れ直すよ、アッシュ」
「ああ、頼む」
「おう、任せとけ」

優しげに目を細め、朱金の髪に口付けを落とすアッシュに、ルークは嬉しそうに、幸せそうに笑った。


END


 

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