月齢
女性向けブログ。ネタ語りや小説など。ルーク至上主義。
ロレルク。
ローレライがスレてるというか、とにかくルーク愛。
あ、ルークは短髪です。
介入話は書いてるものの、ロレルクを書いたのは初か…。
擬人化なロー様も好きだけど、焔のまんまなロー様も好きです(笑)
注!同行者厳しめ
簡単だよ、とルークが言った。
ルークの夢の中へと渡ったローレライに、そう言った。
「だって周りに合わせていればそれでいいんだから、簡単だよ、ローレライ」
皆が笑えば、自分も笑って。
皆が怒れば、自分も怒って。
皆が悲しめば、自分も悲しんで。
なんて簡単。何かを考える必要もない。
「な、簡単だろ?」
にこり。ルークが笑む。
ローレライは何も言わない。何も言えない。
壊れた人形のように笑うルークに、ただ揺らぐ。焔のように、影のように。
「みんなの言うことに、うんって頷いてればいいんだから」
こんな簡単なことってない。
にこにこにこにこ。ルークが笑う。
ローレライはオーロラのようにたゆたい、ルークを包んだ。
「ローレライ?」
きょとん、と瞬く翠の目。この瞳から輝きを奪った人間が憎い。
ルークから意思を奪い、罪を押し付け、当然だとルークを酷使する人間が憎い。
レプリカを搾取する人間が憎い。
笑わなくていい、とローレライは言った。
起こらなくていい。悲しまなくていい。
周りに合わせることなど、しなくていい。
ルークはルーク。お前はお前。
お前が在りたいように在ればいい。
「でも、それじゃダメだって」
我はお前を否定しない。
ルークでなくなりたいなら、それもいい。好きな名前をつければいい。
いや、名前などなくてもいい。名前などなくとも、お前はお前なのだから。
「俺が、ルークじゃなくなったら、『聖なる焔の光』じゃなくなったら、誰も俺を必要としないよ、ローレライ」
我がお前を必要とする。
お前を愛している。
「…預言を生み出したのは、お前じゃないか」
『聖なる焔の光』を求めてるのは、お前じゃないのか。
ルークが不思議そうにローレライを見つめる。ルークを楽しませるかのように、次から次へと色を変えながらたゆたうローレライが、ガラス球のような翠の目に映る。
ローレライは笑った。我はお前を知らなかったと。お前の夢は見なかったのだと。
だからこそ、愛しい、とローレライは笑う。
我より生み出され、我の夢に紡がれない者。だからこそ、お前が愛しい。
お前はどんな未来を生きるのだろう。
そんな不透明な未来を夢見る楽しみを教えてくれたお前が愛しい。
『知らない』ということを教えてくれたお前が愛しい。
「ふぅん」
淡く淡く、ルークの口の端に笑みが滲む。
それは、ルークの笑みだった。ルークが自分の意思で滲ませた笑みだった。
ローレライは歓喜に輝く。
行こう、とローレライはルークの身体に光を絡めた。ルークがどこに、と首を傾ぐ。
人間の手が届かぬところならば、どこでも。
そう答えたローレライに、ルークが考え込むように俯いた。
「でも、大地の降下とか、まだまだやること、残ってるのに」
人間にやらせればいい。ローレライは答えた。瘴気の問題から目を逸らし、来世へと責任を押し付けたのは人間だ。
何故、レプリカであるお前が責任を押し付けられねばならない。
アクゼリュスが、と呟くルークに、ローレライは不快を覚える。ルーク一人へと罪を押し付け、責任を押し付ける人間に苛立つ。だが、ルークはこのままでは首を縦には振らないだろう。アクゼリュスは、ルークにとって枷となっているのだから。
わかったと、ローレラは吐息混じりに頷いた。外郭大地を降下させるまで、待とう、と。
その後で地殻から解放して欲しい。そして、一緒に空へと昇ろう。
ずっとずっとともに在ろう。ともにいて欲しい。
ローレライは優しく温かく柔らかくルークを包んで囁く。
ルークが照れくさそうに頬を染め、自分の意思で答えた。答えさせられるでのはなく、求められている答えをただ返すのではなく、自分の意思で、ルークが言った。
「いいよ」
そう一言だけ、ローレライを見つめて。
ローレライは嬉しそうに輝きを放ち、ルークの重苦しいばかりの白黒の夢を、華やぐ七色に染め上げた。
END